水素吸蔵合金
フッ化水素吸蔵合金
 今日では、水素吸蔵合金の表面に酸化物が形成され、その下層にニッケルリッチ層が存在することが知られるようになってきた。このことは、電気化学的反応系においても合金粒子表面上の酸化物の存在は、初期活性化特性の低さと深い関係があることも理解されるようになってきた。

 特にTi-Ni系に代表されるAB2型合金の表面は、緻密な酸化物で覆われ初期段階における水素化活性の乏しさの要因となっている。水素吸蔵能、初期活性化特性、耐被毒性、耐腐食性などに関する生来的欠陥を排除し優れた高機能性水素吸蔵合金の初期活性化特性、耐被毒性を高めるいくつかの試みがなされてきている。

 たとえば、合金表面のコーティング処理、酸処理、アルカリ処理熱アルカリ処理などは、酸化物皮膜の形成防止とその除去を目的としたものであり、その点では一定の成果を上げている。

 これまでに様々な表面改質法が研究されてきたなかで、開発したフッ化手法を水素吸蔵合金に適用して表面改質法を行い、より高性能なプロチウム吸蔵合金がフッ化水素吸蔵合金である。

 この合金は、初期活性化特性などの電気化学特性面においても著しい性能の向上が期待できる。

  フッ化手法は、粒子表面上から合金粒子表面の主にZr酸化物を除去するとともに水素化により、合金表面に起伏が生じ比表面積を増大させる。さらに、合金表面にイオンおよび電子伝導性の高いNiを還元し、活性化および反応特性を改善させる。